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作文のポイント


入試では、条件作文や課題作文がよく出題されます。「何を書いていいかわからない」「どう書いていいかわからない」など、作文を苦手だと思っている人は多いでしょう。ここでは、実際に書いていくときのコツ、苦手意識をなくすための方法、豊かな表現力をつけるための方法など、どうしたら良い作文を書くことができるのかを、わかりやすく説明します。

【作文のポイント】

◆大切な「起承転結」◆

作文を考える時に,一番最初に気にすることが「起承転結(きしょうてんけつ)」と呼ばれる,文章を構成する4つの流れです。皆さんも聞いたことがあるでしょう。第一の(き)で文章を起こし,第二の(しょう)でそれをうけて説明し,第三の(てん)で文章を一転させ(文意を変えて),第四の(けつ)で全体をまとめることです。どんな文章にも関係することで,メリハリがつき読みやすくなります。

◆実際に作文を書くにあたって◆

①何を書くかを明確にする

与えられたテーマについて、自分の立場をはっきりさせましょう。賛成なのか反対なのか・どう考えるのかなど、自分が決めたひとつの立場にそって、これから書く文章に"肉付け"をしていきます。途中で考えが変わったり、言いたいことがブレてしまったりすると、文章全体に"背骨"が通っていないことになります。自分は最終的に何を言いたいのか、しっかり考えてから書き始めましょう。

②段落の構成を考える

あらかじめ段落の数が決められている、○段落には〜を書くこと、などの条件がある場合もあります。問題をよく読んで、段落を組み立てましょう。入試では、決められた字数の中に言いたいことを収めなければなりません。一番言いたいことを効果的に伝えるためには、どのような順番で、何を説明するかをしぼる必要があります。まず、くわしく述べることと省くこと(この段落に必要かどうか)を決めましょう。くわしく言おうとして説明を始めたものの、字数が足りなくなって、かえって話を混乱させてしまった、ということがないように、何を強調したいのかをはっきりさせることが大切です。それぞれの段落で「この段落ではこれを言うのだ」という目的を決めて書いていきましょう。

③書いていくときの具体的な注意点

言葉の意味や使い方が正しいか、一字一句に気を配りましょう。とくに、中途半端に知っている言葉には注意が必要です。しゃれた言い回しをしてみようと思って使っても、自分で使いこなせていないと誤解を生んでしまうことがあります。自信のない表現は使わずに、分かりやすく書きましょう。また、漢字や送りがなの間違いにも注意しましょう。

④読み直しをする

ひと通り書き終わったら、最初から通して読んでみましょう。読み直すことによって、文章の流れが自然かどうか、一文中の係り受けがおかしくないか、言葉の使い方や漢字が間違っていないか、などを確認できます。書いている途中では気がつかないことも、改めて読み直すと見つかることがあります。また、より適切な言葉が見つかることもあるでしょう。そのように練り直すことで、完成度の高い文章になります。

◆日記を書いて、苦手意識を克服しよう◆

書くことへの抵抗をなくすには、日ごろ見たり聞いたり体験したりしたことについて、自分がどう感じるか・どう考えるかなどを言葉にすることに慣れておくことです。その点で、日記を書くことは良い練習になるでしょう。心の中にあることをどのような言葉で表せば良いかを考える力がつきます。

日記の効果は、書くことに慣れるだけではありません。毎日、何を題材にするかを見つけようとするため、生活の中で、感じとろう・考えよう・想像しようとする姿勢が身につきます。入試で出題される作文のテーマは多種多様です。与えられたテーマについて自分で考え、意見を述べられるようになるためには、日ごろから関心の幅を広げておくことが大切です。ニュース、学校での出来事、読んだ本の内容、旅先で感じたことなど、生活の中にヒントはたくさんあります。それらを材料にして、考える力を養っておきましょう。また、家族や友達など身近な人たちと色々なテーマで会話をすることによって、異なる見方や感じ方を知り、自分の考え方にも厚みが増していきます。

日記を書いたら、保護者や先生に読んでもらうと良いでしょう。相手がいることを意識することで、読み手に分かる説明ができるようになり、また、表現の間違いなどもそのつど直すことができます。

◆本を読んで、たくさんの良い表現にふれておこう◆

何かを伝えたいとき、知っている言葉が少ないと、単純な表現しかできず、底の浅い伝え方になってしまいます。自分が感じたことを、より的確に、細やかに表現するためには、たくさんの表現を知っていて、それらを使いこなせる必要があります。では、使える言葉を増やすにはどうしたら良いのでしょうか。まずは良い文章にたくさん出会うことです。本には、多彩ですぐれた文章が多く収められています。本を読むことによって「この言葉はこのように使う」ということが自然に頭に入るので、自分が作文を書くときにも、表現がおかしいかどうか分かるようになります。

また本を読むことによって、自分が体験したことのないこと、感じたことのないような気持ちを、知ることができます。つまり、感受性や想像力が磨かれ、頭の中に豊かなイメージを描くことができるようになるのです。様々な分野の本を読んでいると"守備範囲"が広くなり、思いがけないテーマの作文が出題されても、しりごみすることが少なくなります。


【中学入試作文例】

以下は、作文問題のテーマとその解答例です。書く時の参考になるので読んでみましょう。また、これらのテーマについて自分ならどう書くか、実際に書いてみると練習になるでしょう。


例題1
◆私たちは、学校生活の中でそれぞれの役割を果たしながら過ごしています。これまで、学校や家庭などで「責任を持って行動したこと」について、あなたの経験したこととその時に感じたこと考えたことを、500字以上600字以内で書きなさい。

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例題2
◆田中さんの学年では、「ボランティア、身近なことからやってみよう」というテーマで、全員でボランティア活動をすることになりました。学年を代表して田中さんが計画を立て、それを学年集会で発表し、参加を呼びかけます。あなたが田中さんならどのような発表をしますか。その発表原稿を400字以内で書きなさい。

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例題3
◆あなたが、これまでに出会った様々な笑顔の中で、特に心に残っている笑顔について、感じたり考えたりしたことを書いてください。文章の長さは、600字程度とする。

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例題4
◆あなたは、地域の各小学校の代表が集まる「交流会」に参加することになりました。交流会では「あなたの学校しょうかい」をすることになっています。そこで、「あなたの学校」を、参加者にしょうかいするための発表原稿を、次の《注意》に従って書きなさい。
    《注意》
  1. 文章は20行(400字)以上、25行(500字)以内で書きなさい。
  2. 参加者に学校の特色が伝わるように、あなたの学校で行われている「行事」や「児童会活動」など、具体的な例を入れて書きなさい。
  3. 学校の特色がわかるように、原稿用紙の右余白に題名を書きなさい。
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例題5
◆あなたは仲良しのA子から、クラスのB子を無視しようと言われました。B子はおとなしく、友達にきつい言葉を言われても言い返すことができません。新しい学級になり、友達もまだできていないようです。A子は、このことを先生には話さないようにと、クギをさしてきました。あなたはどうしますか?それはなぜですか。その理由も書きなさい。(あなたの意見で、点数が左右されることはありませんので、自由に書きなさい。)
    《注意》
  1. 題名や氏名は書かないで、本文から書き始めること。
  2. 原稿用紙の使い方に従って書くこと。
  3. 文字やかなづかいなどを正しく書き、漢字を適切に使うこと。
  4. 200字以上、400字以内でまとめること。
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例題6
◆みどりさんとだいちさんが、読書について話し合っています。

 (みどり)昨年は、「国民読書年」だったよね。
 (だいち)みどりさんは、よく読書をしているよね。おすすめの本を紹介(しょうかい)してほしいな。
 (みどり)わたしは、物語や小説を読むのが好きだわ。最近読んだ本の中でおすすめなのは、「グリックの冒険(ぼうけん)」かな。
  野生りすの生活にあこがれ、かごからぬけ出した飼いりすグリックの物語よ。
  いろいろな困難を乗りこえながら北の森を目指すグリックの様子を想像しながら読むと、わたしも冒険しているような気分になるの。
  何事もあきらめたらいけないなと思うわ。
 (だいち)なるほど。読書をしながら、主人公から勇気や元気をもらうことってあるよね。
 (みどり)だいちさんは、どんな本を読むの。おすすめの本を教えて。
 (だいち)ぼくはね…。

二人の会話を参考にし、あなたの「おすすめの本」を具体的な書名をあげて、400字以内で紹介しなさい。

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【高校入試作文例】

 以下は、作文問題のテーマとその解答例です。書く時の参考になるので読んでみましょう。また、これらのテーマについて自分ならどう書くか、実際に書いてみると練習になるでしょう。


例題1
◆外国の人に「日本文化」について何か一つ紹介するとしたら、あなたはどのようなことを紹介しますか。あなたにとって身近な「日本文化」を一つあげ、それを紹介する理由も含めて360字以上440字以内で書きなさい。

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例題2
◆「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざについて、あなたの考えを、具体的な例をあげて150字以上180字以内で書きなさい。

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例題3
◆あなたは、国語の時間に、様々な視点から物事を考えるために、「物になったつもりで書いてみよう」という作文の課題に取り組むことになりました。そこで、学校に関係がある物(例 校舎、黒板、机、ボールなど)の中から、なったつもりの物を選ぶことにしました。あとの条件に従い文章を書きなさい。
    【条件】
  1. 二段落構成とし、各段落の内容は、次の2、3のとおりとする。
  2. 第一段落は、あとの例のように、なったつもりの物が何であるかが分かるように書き始める。また、なったつもりの物から見た生徒の姿を書く。(例)私は黒板です。
  3. 第二段落には、なったつもりの物からの、生徒に対する思いや意見を書く。
  4. 原稿用紙の使い方に従い、180字以上、220字以内で書く。
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以上です。作文のポイントがつかめましたか? あとは実践あるのみです!

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